2022年施行の道路交通法改正に伴うアルコールチェック義務化には、当初アルコール検知器の使用義務化も含まれていました。しかし、供給状況などを考慮して当分の間延期すると警察庁が発表しています。
2023年になり、動向はどのように変化しているでしょうか。アルコール検知器の使用義務化が近々始まるのではないかといわれている現状や、基本情報を解説します。準備にお役立てください。
1.警察庁がアルコール検知器導入に関するパブリックコメントを募集
2.警察庁が発表したアルコール検知器導入の法改正の概要
3.アルコール検知器を用いたチェック義務化をおさらい
4.アルコールチェックに関する疑問を解消しよう
5.警察発表の前にアルコール検知器を確保しよう
6.「みんなのアルコールチェック」で義務化に備えよう
7.まとめ
2021年改正の道路交通法によると、白ナンバー車両が行うアルコールチェックには、アルコール検知器使用の義務化も含まれていました。供給状況の不安定さなどにより、当分の間義務化が延期されているものの、取り巻く状況が少しずつ変化してきました。
2023年6月に、警察庁より発表された情報を解説します。
警察庁は、2023年6月に「道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令案」に対するパブリックコメントの募集開始を発表しました。
延期状態が続いている白ナンバー車両対象のアルコール検知器使用に関して、当分の間は義務に係る規定は適用しないとする暫定処置の廃止に対する意見の募集です。
意見や情報の受け付けは、2023年6月9日から同年7月8日までの30日間行われました。現在は、すでにパブリックコメントの募集は終了しています。
アルコール検知器使用義務化の延期措置廃止に関するパブリックコメントの結果は、警察庁のホームページで間もなく発表されるでしょう。意見募集要項記載の施行期予定日は、2023年12月1日です。
何事もなければ、2023年12月以降、アルコール検知器を使用したアルコールチェックが義務付けられます。スムーズに導入できるよう、早めの準備をしておきましょう。
2022年以降に施行されている、白ナンバー車両を一定台数使用する事業所が対象のアルコールチェックは、違反した場合の罰則規定が定められています。
法律違反になる事態に陥らないよう、前もって改正された道路交通法施行規則を理解することが大切です。大切な点を押さえておきましょう。
痛ましい飲酒運転が原因の悲惨な事故を根絶すべく、2021年11月に道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令が公布されています。
業務で車両を使用する際、これまで運転前にドライバーの酒気帯びを確認する義務はあったものの、運転後の確認や記録簿の保存は義務付けられていませんでした。
今回の改正案では、安全運転管理者がドライバーの業務前後に目視などで酒気帯びを確認し、記録簿の管理および1年間保存が必要なことを明確に規定しています。改正案の施行は、2022年4月です。
加えて、アルコール検知器を使用した酒気帯びチェックや、アルコール検知器を常時有効に保持すべき点も含まれています。当初の施行期日は2022年10月でしたが、現在は延期状態です。
2022年10月に施行予定だったアルコール検知器使用の義務化は、アルコール検知器の供給状況などを踏まえて現在は延期されています。対象事業所が十分な数のアルコール検知器を入手するのは困難との見方が強かったためです。
警察庁は、アルコール検知器使用に関する義務化規定を、当分の間は目視などによる義務化規定に読み替える規定を2022年9月に発表しました。当分の間とは、十分な数のアルコール検知器が市場に流通する見通しが立つまでの間です。
アルコール検知器の供給不足に関して、コロナ禍や半導体不足などさまざまなことが関係しているといわれています。2023年になり、世界情勢や市場動向に変化が見られてきました。
2023年4月に取りまとめた全国の安全運転管理者を対象にしたアンケートでは、アルコール検知器の必要台数全てを入手した事業所は約7割に上ります。
2023年6月に実施したアルコール検知器協議会への調査では、「半導体不足および物流停滞が改善傾向にあり、アルコール検知器は安定した生産・供給が可能な状況」との回答でした。十分な供給体制が整っているといえます。
2022年以降、段階的に実施されてきたアルコールチェック義務化は、アルコール検知器使用の義務化に伴い本格的に施行されます。自社は対象になるのか、どのような義務があるかなど、関係する道路交通法施行規則をおさらいしておきましょう。
道路交通法施行規則の改正に伴い新たに対象となった事業所とは、緑や黒ナンバーの営業車両ではない、白ナンバー車両を一定台数使用している事業所です。
道路交通法施行規則第9条8によると、乗車定員が11名以上の自動車であれば1台以上、その他の自動車を5台以上使用している事業所では、安全運転管理者の選任が必要と規定されています。大型自動二輪車または普通自動二輪車の場合は、各1台につき0.5台の計算です。
安全運転管理者は、各ドライバーに対し目視などで酒気帯びの有無をチェックした後、きちんと確認内容を記録しておくことが必要です。加えて、記録簿は1年間の保存が義務付けられています。
記録簿の様式や保存方法に関する細かな決まりはありません。自社で運用・管理しやすい方法を選べます。
自社が対象事業所の場合、アルコールチェック義務化に関していくつかの疑問が生じるのではないでしょうか。例えば、検査するタイミングや記録簿に記載する内容などです。
よくある質問に関しての情報は、各都道府県の警察署が公表しています。ここでは主なポイントを確認しておきましょう。
道路交通法施行規則第9条10によると、アルコールチェックは運転しようとする者、および運転を終了した者に対して実施することが規定されています。基本的に、運転前後での確認が必要です。
しかし、警察庁発行の通達では「運転とは一連の業務としての運転」を指すため、必ずしも運転前後に毎回実施しなければならないというわけではありません。運転を含む業務全体の開始前または出勤時、および業務全体の終了後または退勤時にチェックできます。
記録簿に記載すべき内容も規定されているため、確認しておきましょう。
【必須項目】
・確認者氏名
・ドライバー氏名
・運転業務に係る車両の登録番号または識別記号
・確認方法(アルコール検知器使用の有無、非対面時の具体的な方法)
・酒気帯びの有無
・指示事項
・その他必要事項
上記項目に加えて、自社の業務上便利と思われる項目も記載できます。例えば、アルコールチェック実施場所、使用したアルコール検知器の情報、ドライバーの健康情報、天候などです。
直行直帰や出張などで、ドライバーが自社の営業所に戻れない場合、原則とされている対面でのアルコールチェックが困難です。その場合は「準ずる適宜の方法で実施可能」との規定があります。
例えば、カメラやモニターなどを使用してドライバーの顔色を確認可能です。また、携帯電話・業務無線などで直接対話し、応答時の様子や声の調子をチェックできます。
アルコール検知器の使用義務化導入後は、携帯型アルコール検知器などを携行してチェックする必要があるため、準備を進めておきましょう。
酒税法上、アルコール飲料の定義は1%以上の度数です。ノンアルコール飲料には、アルコール成分をまったく含まないものと、微量含んだものの2種類があります。
ラベルに「0.00%」と記載されているものであればアルコール成分が一切含まれていないものの、「0%」や「0.0%」の場合は微量のアルコール成分が含まれている可能性を念頭に置きましょう。
体質によっては、たとえ微量でも体内にアルコール濃度が残留する恐れがあるため、ラベルの確認が必要です。
現在の状況では、2023年12月以降アルコール検知器の使用が義務付けられる可能性が高まっています。警察が発表する最新情報に注意を払いましょう。
義務化施行直前には、駆け込み需要が予想されます。アルコール検知器をスムーズに導入できるよう、事前に確保しておきましょう。
アルコール検知器にはいくつかの種類があり、大きく分けて「半導体式」と「電気化学式」の2種類です。
半導体式センサーは、センサー表面に付着する酸素量に応じて抵抗値が変化する仕組みを利用しています。アルコールガス濃度が高まるにつれ酸素量が減少し、センサー抵抗値が下がるようになっています。
電気化学式センサーは、呼気に含まれているアルコール成分に反応して発生した電気の値を測定します。アルコール以外の成分にはほぼ反応しないため、精度が高いことが特徴です。
アルコール検知器のメーカーや種類に関しては、細かな規定は定められていません。道路交通法施行規則や警察の資料では、国家公安委員会が定めるものとしています。
アルコール検知器の選び方は事業所ごとに異なるため、重視したいポイントを明確にしておきましょう。選ぶ際のポイントには、年間測定回数・精度・サポート体制などがあります。
記録簿の保存方法に合わせて、クラウド管理ができるもの、スマートフォン連携機能があるものを選ぶなどもポイントです。定期的なメンテナンスや、買い替えにかかる費用も考慮しましょう。
アルコールチェックが義務化されましたが、使用している車両やドライバーの人数が多かったり通常業務が忙しかったりする場合は、アルコールチェックは大変と感じるのではないでしょうか。
記録簿の管理・保存をできるだけ効率的に行うのにおすすめなのは、ORSOの「みんなのアルコールチェック」です。
みんなのアルコールチェックは、法律で定められたアルコールチェック義務化に対応した必要な機能のみ搭載している便利なツールです。
所定のフォームにアクセスし、会社情報を入力して申し込み後すぐに、実際の管理画面を確認できます。初月無料で試せるため、初期費用をかけずに導入が可能です。契約後は、月額制で1ユーザーにつき200円で計算します。
使い方もシンプルで、目視またはアルコール検知器を用いたチェック後、測定結果をパソコン・タブレット・スマートフォンから報告が可能です。
みんなのアルコールチェックに搭載している機能は、大きく分けて7種類あります。
・測定結果報告
・確認
・通知
・写真および動画での報告
・記録のダウンロード
・閲覧権限
・運転日誌記録
直行直帰など事業所に戻れないシフトの場合は、カメラでアルコールチェックの測定結果を撮影して報告できます。測定結果は一覧で確認できる他、1年間クラウド保存されるため安心です。
使用するアルコール検知器の機種に指定はありません。自社が使いやすいアルコール検知器を使用できます。
アルコール検知器を使ったアルコールチェックは、飲酒運転による痛ましい交通事故を引き起こさないために義務化されました。
一定台数の白ナンバー車両を使用している事業者では、近々アルコール検知器の使用も義務付けられる予定です。アルコールチェック義務化をスムーズに遂行できるよう、早めにポイントを押さえておくことが大切です。
業務負担の軽減に役立つ「みんなのアルコールチェック」をぜひお試しください。アルコールチェック検知器使用の義務化の詳細は、今後の警察発表を待ちましょう。
参考情報
https://mobility-service.pioneer.jp/contents/alcohol-check-how-to-choose/
https://www.alcohol-check.jp/
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/anzenuntenkanrisya/pdf/20211110tuutatu_1.pdf
https://www.npa.go.jp/news/release/2023/02_sankou.pdf
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/insyu/index-2.html
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=335M50000002060
https://jico-pro.com/magazine/37/
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=120230010&Mode=0
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/insyu/img/ankanleaflet.pdf
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/anzenuntenkanrisya/pdf/20220909tuutatu.pdf
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https://www.npa.go.jp/news/release/2023/01_kouhou.pdf
https://www.nta.go.jp/taxes/sake/qa/01/01.htm#:~:text=Q1%20%E9%85%92%E9%A1%9E%E3%81%AE%E5%AE%9A%E7%BE%A9%E3%82%92,%E3%81%AE%E3%82%82%E3%81%AE%E3%82%92%E5%90%AB%E3%81%BF%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82%EF%BC%89
https://www.police.pref.mie.jp/information/ankan/02qa.pdf
https://www.tanita.co.jp/content/alcohol/recommend/
https://www.tele-nishi.co.jp/biz/white-anzen/column/alcohol-record-book/
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/anzenuntenkanrisya/pdf/seido_0.pdf